伊勢本街道 その5
山粕〜深野





前回終了地点の山粕の
集落までバスで来て
朝9時ごろスタート。

この日歩く予定は約40km。
そのため、早いスタートが
必要なのですが、山粕へ
朝早く着くバスが平日しか
運行しておらず、休暇を
取って歩くことにしました。

着く前にハプニングが
あったのですが、それは
後述します。



集落の東にある鞍取峠の
入り口。

ここには公衆トイレも
あります。












歩いたのは正月明けの頃。
ご覧のように数日前に
降った雪がまだ残っています。

風がなかったので、あまり
寒さは感じませんでした。











鞍取峠の登り坂を振り返って
撮ってみました。

この鞍取峠は、
「お伊勢参りして
 怖いとこどこか
 飼坂 櫃坂 鞍取峠 
 津留の渡りか 宮川か」
と詠われた難所の1つ。

勾配もかなり急です。






ただ、距離はそんなに長くなく
登り始めて15分程で到着。















登りと同じ15分程かけて
下っていくと、桃俣の
集落に到着。

集落の手前に白髭稲荷
神社がありました。











民家の前にあった案内板。
ここから御杖村だそうです。

なんてことない情報ですが、
何故か心が和みます。

ここの集落から先、いろんな
集落で伊勢本街道を感じる
ことができました。

ここからは1時間弱ほど
舗装された道を歩きます。





まつや旅館。

伊勢本街道を泊りで
歩かれる方には
おなじみの宿。












写真の真ん中にある電柱の
脇を左折し桜峠を目指します。

曲がるところには案内板も
ちゃんとあるので、迷う
ことはありませんでした。











峠に差し掛かる手前で
牛さんの注目をあびて
しまいました。

この寒いのに物好きなヤツ‥
とでも思われているので
しょうか?










桜峠を越えると急に視界が
開け、巨大ドームが出現。

小学校でした。

個人的にはちょっと
違和感があるのですが‥










一旦国道369号線に
出たあと、菅野の集落を
抜けていきます。

道標・常夜燈の横には
電柱やカーブミラー。

ここまできれいに
並べなくても、
と思うのですがね。







天気もよくなってきて、
少し暖かくなってきました。















今度は牛峠を越えていきます。

この峠はあまりキツイ
勾配はありません。

牛峠の手前でスタートから
2時間ぐらい。










牛峠を越え、再度国道369号線に一旦合流。
少ししてから脇道にそれ、神末の集落へ。

ここにも道標と常夜燈の横にカーブミラーが。

まあ、道標などは曲がり角にたてることが
多いので、仕方がないといえば仕方がないですね。










民家の軒先には
伊勢本街道の提灯が。

この先、この提灯は
よく見かけました。












首切地蔵。

説明分らしきものが
あったのですが、
文字が消えてしまっていて
読むことができませんでした。

このあたりは佐田峠らしい
のですが、峠ということは
あまり感じられません。







丸山公園を過ぎ、少し下り
始めたところに、
姫石明神があります。

ご神体は岩で、女陰の形を
しているのだそう。

あまりジロジロ見るのも
なんなので短時間で通過。








先ほどの姫石明神の
あたりが岩坂峠。

山道を一気に下って
いきます。












視界が開け、
集落が見えてきました。

国道368号線に出ると‥
(369号から変わってます)












三重県に入ります。

ここまででスタートから
3時間ぐらいです。

ここからは舗装された
道を行きます。











祓戸の常夜燈。

石垣の上にありましたが、
移設されたんでしょうね。













「右 いせみち」
と書かれた下垣内の道標。

この日の中間地点である
伊勢奥津駅まではあと2km。












奥津は宿場として栄えた
集落で、いまも昔のいい
雰囲気が残されています。

それぞれの民家の前には
工夫を凝らした暖簾が
かけてあり、集落をあげて
雰囲気を守ろうという
気持ちが伝わってきます。








JR伊勢奥津駅に到着。山粕から3時間50分。

JR名松線の終着駅である伊勢奥津駅。当初の計画では三重の松阪と名張を結ぶ予定だったのですが、
1935年に松阪からここまで出来ただけで計画がストップ。
全国屈指(?)の赤字ローカル線としても有名で、行き止まりの路線ということもあり、
「鉄っちゃん」の間ではなかなか人気の高い路線せした。

ところが、2009年10月の台風で大きな被害を受け、名松線全線が運休。
松阪と途中の家城間は復旧しましたが、家城〜伊勢奥津間は復旧が困難とのJRの判断で、
未だ再開されておらず、現在はバスの代行輸送になっています。
代行輸送に伴い便数も削減され、アクセスが不便になってしまいました。

駅舎は2004年に立て替えられ、津市の出張所や地域の住民センターを併設。
なかなか立派な駅舎なのですが‥。

鉄道復旧に向け地元の方からは要望がでているようですが、超赤字路線なこともあり、
なかなかJRもウンとは言わないようです。


蒸気機関車のころの
名残りの給水塔。

今となってはかなり
珍しいものになるのでしょう。












ここで行き止まり。
終着駅の雰囲気が出てます。

実は駅の手前で飲み物が
なくなりました。駅の前の
自販機で買おうと思ったら、
スポーツドリンク系が売切。
お茶は売っていたのですが、
次の自販機で、と思ったのが
失敗。2時間半ほど飲み物を
手に入れることができません
でした。冬場で助かりましたが
夏場だったら大変なことに。
ここで補給されることを
お奨めします。


奥津の集落を抜けて
これまた難所である
飼坂峠を目指します。
(カイサカと読みます。)

民家の前に飾ってある
花のようなものは猿よけ
だそうで‥

猿をみることはありません
でした。






峠に差し掛かると
首切り地蔵があります。

昔、峠越えの際に山賊等の
犠牲になった人たちの成仏を
願い、供養のため建立された
ものだそう。

さすがに今は山賊はいない
でしょうけどね。







一旦国道を横切るまでは
舗装道だったので、
楽に歩けたのですが、
飼坂トンネルの手前で
国道を横切ったあとは
グネグネと曲がりくねった
急な山道になります。

山道に入ったところに
腰切り地蔵があったハズ
なのですが、見落として
しまいました。





何度か立ち止まりながら
飼坂峠に到着。

屋根付きの休憩所も
ありました。

峠の近くには展望台が
あるので行ってみると‥









ご覧のような景色。

眼下に小さくこれから
向かう上多気の集落が
見えます。

ただ、この日の目的地は
上多気の集落の奥の山も
越えなければなりません。

あまり深く考えないことに
しました。





約1時間ほどかけて飼坂峠を
越え、上多気の集落に到着。

ここは昔の街並みが残り
雰囲気のいい集落です。

ただ、ここでも自販機は
見つけることができません
でした。








上多気常夜燈。

ここもその昔、宿場町として栄えたところ。

この常夜燈は高さが4.9mもあり、
伊勢本街道にある数ある
常夜燈の中でも最大級のもの。

近くには「すぐいせ道」と書かれた
大きな道標もありました。




結城屋旅館。

どうも旅館としては今は
営業されていないようです。













このあと、国道に出たり
入ったりしながら坂向場を
過ぎていきます。

坂向場とは、昔、伊勢参りが
盛んだった頃、二泊三日の
伊勢参りから帰ってくる
多気の伊勢講たちを家族や
子供たちが出迎えた所。
みんな無礼講で酒を
酌み交わしたそうです。

酒を持って出迎えて
ほしかったなあ。



しばらく歩くと峠地区へ。

普通の街並みに見えますが
昭和50年に廃村になって
おり、人影をみることは
ありませんでした。

普通の街並みがそのまま
残っているのに、誰も
おらず、ちょっと不思議な
感じです。

ここで山粕から6時間強。




峠地区のすぐ先から
ひっ坂峠を下っていきます。
ひっ坂の「ひっ」は
 「櫃」を手偏にしたもの。
変換できませんでした。













ひっ坂も難所のひとつで、
かなりの急勾配が続きます。

下りだけなのでよかったですが
逆は絶対に嫌ですね。












ひっ坂峠を下り切り、
国道368号線に合流。

ようやくここで自販機を
見つけることができました。

伊勢奥津駅からここまで
私の足で2時間45分。

途中自販機がありませんので
ご注意を。






この区間を歩いたのは
正月明けの頃だったので
どんと焼きの準備が
いろんなところで
見られました。

子供のころは
学校や公園でもやりましたが
最近、家の近所では
見ることもなくなりましたね。







仁柿小学校前を通過。

ここまでくればゴールまで
あと数キロです。

さすがに疲れてきましたが
最後のひと踏ん張り。










だいぶ日が陰ってきました。

遠くの山肌にあたる
夕日の赤がきれい。













目的地の柿野神社に到着。

参拝後、靴を脱いで
境内でしばしの休憩。






柿野神社のすぐ南を走る
国道168号線には
バス停も多く、またバスも
1時間に1本ぐらいの
割合でやってきます。

バスの時間を見計らいながら
松阪方向に歩き、少しでも
距離をかせぎます








由緒のありそうな商店。

大豆の文字が見えますが
味噌屋さんでしょうか?




1.5kmほど歩き、
深野のバス停から乗車。
日もどっぷり暮れました。

山粕からここまで
約38kmを7時間40分。
51100歩でした。

よく歩いたなあ。

ここからバスで松阪駅に
向かいます。

帰りの電車の中 は
モチロン爆睡でした。


今までは1日20km程度だったのですが、一気に40km+難所の峠が3つ。我ながらよく歩いたと思います。
冒頭にも書きましたが、朝早い時間に山粕まで行くバスが平日しか運行されておらず、休みをとって望みました。
バスが出る榛原までは近鉄電車。しゃんと到着時間を調べて電車に乗ったのですが、なんと踏切事故により電車が途中でストップ。
結局バスには間に合わず。中止も考えましたが、次いつ平日に休みがとれるかわからず、榛原から山粕までタクシーを使うはめに。
痛い出費でしたが、仕方ありませんね。





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